撃たれた銃弾。

ほぼ同時に引かれた引き金に銃弾が押し出されて飛んでくる。

銃弾は互いの体に埋まり、ルルーシュとスザクは同時に倒れた。

衝撃で後ろに倒れるスザク。

銃弾が胸に埋まった痛みで前に座る様に前方に倒れるルルーシュ。

二人の血は溢れ、二つあった水溜りは一つの大きな水溜りになる。

スザクはビクともしなくなっていた。

ルルーシュの射撃の腕が良かった訳では決してない。

紛だった。

こんな時に、はっきり言って死なせるつもりが無い時に限って、綺麗に当たった 、否、当たってしまった。

震えたスザクの手から離れた弾は、まるでルルーシュの胸に吸い込まれる様に飛 んで行く。

ルルーシュがハッタリで仕込んだサクラダイトに臆する事も無く…

あと、数センチ。

朦朧とする意識の中、ルルーシュは既に動かないスザクに手を伸ばす。

少しでも触れたくて…

本来ならば触るのさえ許され無いだろうスザクの手。

生きていた頃の記憶。

子どもの頃、仲良くなって交した握手の暖かさ。

小さな崖を登るのに引っ張ってくれた力強さ。

雨の中、ナナリーをおぶって歩いた後の熱い手。

再会して、再確認した手の温もり。

想いが通じて何気無く繋いだ手の安心感。

生徒会の会議中にメンバーに内緒で机の下で絡ませた指の高揚感。

今のスザクの手は血まみれで、急速に体温が消えていく。

それでも握っていれば少しは体温が消える速度が変わる気がしていた。

ルルーシュはスザクの手の温もりを思い出しながら、永遠の眠りに就くのだった…

=end=







**あとがき**
25話後を勝手に捏造。
死んでる筈は無いと思います(笑)
だってPVみたいなのに思いっきり居たし、ルル。
あのPVをもう1度見たいです。
07.09.07